2006年7月 じゃがいもの花

一週間ぶりに中山の野菜畑に行く。畑のじゃが芋は、畝間まで葉を押し広げ白い花をつけて大きく育っていた。手にとって見ると花は五角形の盃形をしてかたまって咲き、各々の花茎の根元には次に咲く蕾の花柄がたれている。この畑には男爵、メークイン、ホッカイコガネ、インカのめざめなどのじゃが芋が別々の畝に植えられている。それぞれを比べてみると葉には濃淡、花には白から薄紫まで微妙な違いがある。野菜畑の半分以上はじゃが芋を植えている。

野菜つくりの仲間の多くは戦中派である。じゃが芋はでんぷん質を多く含むので主食になる。じゃが芋をつくりたいという動機の中に、戦後の食糧難を知っている世代の「食」に対する思いが意識の底に潜んでいるのであろうか。

4月中旬に別の早植えのじゃが芋畑をみせてもらったことがあるが、その葉は霜にやられて黄色くなっていた。立春から数えて八十八日目の、霜が降りなくなる八十八夜を過ぎる頃まで農家は畑の管理に気が抜けない。この畑では同時に色んな野菜をつくっている。野菜はそれぞれ原産地が違うので、それぞれの土地の気候や土壌を知っておくことが野菜つくりに参考になるものと思われる。

5・6月の畑は、野菜がどんどん育つ。それに伴って雑草も大きく伸びる。野菜畑には農業機械が使えない。すべてが手作業である。一度手を抜いてしまうと、野菜が雑草の中に埋まってしまう。雑草がはびこると風通しが悪くなり肥料を吸い上げるので、野菜づくりには除草が大切な仕事になる。おおまかには鋤簾を使って草を刈るが、野菜の根元の草を手で抜く作業になる。一畝づつ地面に身をかがめて雑草を抜いてゆく。虫はまだ余りついていない。土の中からミミズが飛び出す。時折、ホトトギスが鳴く。
  
じゃが芋の原産地は南米のチリ。そのため乾燥した冷涼な気候を好むが霜には弱い。
16世紀、スペインに伝わり寒冷な土地の重要な主食になるとして欧州全体に広まっていった 。 日本には16世紀末にはジャワのジャカルタ経由で長崎に伝えられた。じゃが芋は茄子科 の多年草である。同科の野菜には、ナス、ピーマン・トマトなどがある。また、一般の茄子科   は花の実を食用にするのに対し、じゃが芋は地中の茎の一部が塊りとなったところを食用に する。
また栄養面では、ビタミンB1、Cやカロリーに富むアルカリ性食品で、このビタミンCは細胞に含まれているため熱を加えても壊れにくく血圧の上昇抑制効果あるという。料理では男爵」は一般的でデンプン質に富んでホクホクしており、「メークイン」はデンプンが「男爵」よ り少ないので炒めものなどに向いている。[参考]茄子の原産地はインド(熱帯)。ピーマンは 中南米(熱帯)。トマトは南アメリカアンデス地方(少雨)。

じゃがいもの 花うきあがり うきあがり 幹治