2007年10月台風9号観望記

首都圏から関東・東北に大被害をもたらした大型台風9号、発生から消滅までを追ってみる。8月30日太平洋中央付近で発生した熱帯低気圧が台風9号と命名され、発達しながら遅い速度で本土に接近し、9月7日午前2時小田原市に上陸。関東から東北を縦断して北上し8日未明に北海道に再上陸。同日午後3時にオホーツク海に抜け温帯低気圧に変わった。西進していた台風が本土に向けて北上し始めたのは9月5日。この台風はマラソン並みの速度で大型に発達してきたため、台風の進路の東海・関東にかけて山岳の東側に大雨を降らせた。

発生から本土上陸までに9日間、それから北海道に抜けるまでに約1日半を要している。この台風による降雨量が年間の1/4から1/3に達するところも出て各地の河川が増水し、多摩川や荒川では危険水位まで近づいた。道路の切断、家屋の倒壊、果実の落下など農作物の被害が東日本で広範囲に起きた。また、高速道路、空路、新幹線、鉄道などの交通網が一日以上にわたって遮断された。

5日朝、台風の先触れで朝から土砂降りだった。用事のためにわたくしは雨コートを着て外出。6日夕、家では屋外の植木鉢や物干棹などを軒下に移動し近づく台風に備えた。同日夜半に風が多少吹きはじめた。7日朝3時半に目を覚ましラジオのスイッチを入れる。4時現在八王子を通過中という。雨は激しく降っていたが、雨戸を通して伝わってくる風音は大きくない。ラジオは各地の河川の水位上昇を刻々と伝えていた。

8日、富山から台風見舞いの電話が入る。八王子の台風通過をテレビの台風情報で見て心配してかけてきたものだ。わたくしの家では、植木鉢が1、2個横倒しになった位で、特に被害というものはなかった。昨年だったか、九州に上陸し本土を縦断して八王子を通過した台風があったが、今回と同じくそれほど風は強くなかった。北半球の洋上台風に反時計方向に湿った海風が吹き込むので、台風の東側が特に風雨にさらされる。一般に台風は春から秋にかけ北上する位置が西から東に移動し、東海や関東を直撃するものは少ない。本土に上陸しても西から東に移動するまでに台風の勢力が多少弱まる。

台風が比較的多く上陸する九州や四国から八王子は遠くはなれて、三方が低山や丘陵に囲まれている。また、近年浅川が決壊したということも聞かない。安心してはいけないが、八王子は比較的風水害の少ない気象の特異地域なのだろうか。

9月11日、中山の畑に行く。台風9号による作物の被害は殆どないようだ。ところどころは畑土が流されたところがある。農具小屋の屋根から雨水を導いた二つの水タンクは満タンになっていた。これが二つ連結し、上段のタンクが一杯になると下段のタンクに導く仕組みになっている。この水は畑の種を蒔いたときや苗を畑に移植したりする時に使う。なにしろこの畑に水道が引かれていないので雨水(天水)だけが頼みの綱だ。二つ合わせたタンクで約1トンの水が溜まる。この畑は約1反(300坪=約10a:1000㎡)あり、畑道他を除くと実質約200坪の耕地を約20人で分けて野菜をつくっている。

台風の あとや畝間に たまる土 幹治