2007年7月スギナ抜き

雨が上がった翌々日の6月12日朝9時、中山の菜園に着く。近くの丘の雑木林の緑が濃くなり、栗の木は一斉に白い雄花を垂らしている。畑中の柿は、枝を広げて艶やかな葉を茂らし、木陰を提供してくれる。遠くでホトトギスが鳴いている。じゃが芋畑では花が咲きはじめ、胡瓜や茄子などがぐんぐん生長している。雑草はたくましく丈を伸はしている。畑の雑草とりを怠ると、雑草に作物が埋まってしまうことになる。

一口に雑草といってそれぞれに名前がある筈だが、わたくしの野草知識が乏しいので、同定できるものが限られている。畑で一番目立つものはスギナだ。以前に薩摩芋で有名な川越の三富新田の農家の方からスギナについて聞いたことがある。しばらく耕作しないで放置した畑のスギナの退治には4~5年かかるということだった。中山の畑は上段・中段・下段に分れ、それぞれ狭い農道でつながり少し離れている。中段と下段は知人が10年以上前から耕作していて、スギナの生え方が少ない。上段は4~5年放置されていて昨年から耕作をはじめた畑だ。春起こし時に畑土に混じるスギナの茎を大分取ったが、一番先に生えてきたのはやはりスギナだった。これから夏中、畑仕事の半分が雑草とりに明け暮れることになるだろう。

スギナ(トクサ科)
多年草。畑地、土手、道端などに普通に成育し、特に酸性の土壌に好んではえる。地下茎を四方に伸ばし節々から芽を出す。春早く胞子茎(ツクシ)が現れ、ついで栄養茎(スギナ)が現れる。栄養茎は高さ30cm~60cm、鮮緑色の円柱形で中空、縦に溝があり質は堅い。節から多数の枝を輪生する。小枝は四角柱状で先が4裂し、鞘上の葉をもつ。(分布)全国
全国農村教育協会:雑草図鑑

昨年からみると、今年のスギナの生え具合はやや少ない気がする。それでも、収穫の終わった畑を備中鍬で起こしてみると、畑土に10cm前後のスギナの茎が沢山混じっていた。この一つ一つがスギナの苗になる。スギナは茎を切らさないように手で引き抜くことが一番だ。作物を傷めにないようにその周りに生えたスギナは手で引き抜く。畝の間は鋤簾(じょれん)でかきとる。こうすると土中にスギナの切れ端が残ってまた生えてくるが、能率をあげるためには仕方がない。冬場に畑土を篩い(ふるい)にかけ徹底的にスギナの茎を取り除けば大分減るだろうが、畑土をすべて篩いに通すことなど出来ることではない。自然の中の畑では作物と雑草と折り合いをつけてゆくしかない。

畑仕事は畑起こし・堆肥/肥料散布・種まき・養生・育成・収穫と続く。毎日畑の状態を見て観察し、手入れをする必要がある。週1度位では野菜づくりはできない。野菜は根・茎・葉を利用するが、ものによって生育時期や期間がそれぞれ異なる。当然肥料も違ってくるし、病虫害の対策も違う。有機農法の野菜作りは農薬や化学肥料を一切使わない。そのために、病虫害に強い健康な野菜づくりを目指さなければならない。

畝の間を こごみつたひて スギナ抜く 幹治