2007年8月除草

 7月に入り、暦の上では晩夏である。関東地方の梅雨入りが6月14日、平年より6日遅かった。気象庁は梅雨明けを今月20日頃と予測している。九州地方は連日豪雨に見舞われ、河川が増水して土砂崩れが多発。大きな災害が起きている。西日本は6月までの降水量が少なく、ダムの貯水量が底をついていたが、この豪雨で相当回復しているようだ。災害がなくて適度に雨が降ってくれればよいが、自然は人間の思惑通りに行かない。地球温暖化の影響で、世界各地では旱魃と集中豪雨が隣り合わせで起きている。

中山の畑へ行く。作物に手がまわらず雑草に埋まっているところがある。胡瓜や豆類は三角支柱を立てて蔓を這わせ実を生らせている。キャベツなどは、ネットを被せてある。これは蝶除け対策だが、球が巻き始めるとネットを外す。じゃが芋や小松菜などの葉類は地植えのままだ。除草は、まずインゲンの三角支柱の畝から始める。支柱の中には丈が40㎝以上にもなったカヤツリグサ、イラクサなどが生えている。

それらを両手で引き抜く。踏まれている畝間や畑の通路にはオヒシバがしっかり土に食い込んでいる。これは少々厄介だ。両手で引き抜こうにも簡単には取れない。鋤簾(ジョレン)で掻きとるのは簡単だが、それでは根がのこり、また生えてくるので、なるべく無理をしてでも両手で引き抜くことになる。こんなやり方は能率が悪いので専門の農家はやらないだろう。

一般の農家は、畑の通路などを回転式の草刈り機でビービーさせながら刈ってゆく。草が伸びないうちに抜けば後での苦労はないが、目先の作物の世話が先になり、除草は後回しになる。以前に水田を歩いていたら、田んぼの中にコスモスが咲いていて驚いたことがあった。昔の農家は田んぼに雑草を生やしておくのを恥としていた。

簡単に引き抜けるものはナズナ、コニシキソウ、ニシキソウ、カキドオシ、スベリヒユ、シロザ、アカザ、コナスビ、イヌタデ、ツユクサ、ヒメジョオン、ハハコグサ。また、かたまりのオオバコ、ヨモギ、カモガヤ、エノコログサ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ。よく見ると同じものがかたまっている。畝に生えるもの、畑の通路に生えるもの、農道の脇に生えるものなどでは草の種類が違うようだ。また、よく使っている畑は草があまり生えていない。手入れをしていない畑は作物が雑草に埋まっている。

このあたりの畑は、市場に出荷する位に専門にやっている農家は少ない。隣りは70歳を過ぎのおじいさんだ。今頃の農家の跡取りは殆どが給料取りで、畑仕事はあまりしない。農地を放っておく草が生えて荒地に戻る。耕作しない土地は農地と認められなくなるので税金がかかる。そこで、農家のお年寄りが畑に出てくることになる。

市内の農家の畑の殆どは、ほぼ同じ状況ではないだろうか。畑はまだあるのだから、畑をやりたい人に貸せばよい。農地の需要供給のうまい仕組みができれば、都市生活者が借地農園で新鮮な野菜を自分でつくることができる。新鮮な野菜が食卓にのることにより「食と健康」に関心が高まる。ひいては環境問題も身近に感じることができる。

涼しさや 草ぬきおはる 黍(きび)畑 幹治