2013年5月 今熊神社のミツバツツジ

4月8日朝快晴、今日はあきる野市との境にある今熊神社でのデジカメ撮影だ。目当ては神社のミツバツツジ。今朝は前日までの悪天候が嘘のように晴れた。
車で高尾を発って、来る途中のところどころの民家には鮮やかにツツジが咲き誇っているが見える。秋川街道を通って小峰トンネル入口から、西方向に岐れる今熊山登山道に入ると行く手に今熊神社への案内板がかかっている。それを見ながら車を進めると竹藪の奥の行き止まりが今熊神社の駐車場だった。そこにはテントが張られ、地元の主婦たちが花見客を相手に手づくりの山菜弁当や漬物などの土産物を並べている。

山の稜線が見える南斜面には一面にミツバツツジ植えられている。花は満開を過ぎているようで、ところどころ白っぽいところもある。それでも青い空にミツバツツジの薄紫がよく映えている。9時半、今熊神社の駐車場にデジカメの仲間が全員集合。

指導者から一通りの説明があり、次にデジカメの設定だ。これを念入りにしておかないあとで後悔することになる。予め、朝日の射し具合を考慮に入れ、まずは南斜面、次が神社周辺、登山道へと撮影場所を移してゆく。やはり撮影は構図が大事だ。主題のツツジと背景をどのように組み合わせるかだ。

テーマなどを絞り訴えるものがなければならない。風景の切り取り方には一通りの約束ごとがある。それを踏まえて、あとはそれぞれの感性が勝負になる。デジカメの特性を知って十分使いこなすことも大切だ。ミツバツツジは盛りを少し過ぎたようで、一部には白っぽいところもある。残念ながらミツバツツジの群生地のすぐ上の杉林が大きく伐採され、あたら景観がだいなしになってしまった。

ここで約2時間撮影し、次に五日市の龍珠院へ車3台で移動する。
小峰トンネルを抜け檜原街道に入って戸倉、十里木を経て秋川渓谷対岸の龍珠院に着く。龍珠院は秋川渓谷の南斜面中腹の花の寺として知られている。さすがにここは山深い里のためか八王子市街地に比べ10日ほど遅くれ、さくらやミツバツツジは今が満開だ。寺から南斜面を見渡すと、ところどころ木立のつつまれた人家や菜の花などが植わった山畑が遠望できる。

すでに先客のカメラマンがあちこちの散らばり、さくらやツツジに三脚を立てて撮影している。お寺に向かう細い参道の両脇には20体の石仏が並んでいる。山里の要として山裾の高い位置に花木に包まれて鎮座しているお寺の姿はまさに民話の世界だ。

今日は4月8日、どのお寺でも釈迦の降誕を祝して祝う灌仏会が営なまれる。ここ臨時宗龍珠院でも本堂の入口に花で飾られた花御堂が置かれている。参拝者はお寺の奥さんのすすめで次々に御像に甘茶をそそぎ参りをする。これは、昔も今の変わらない何百年と続く風景である。

今日は終日晴天に恵まれ、青空を背景にさくらの白さがよく映えた。ここで雨が降ると渓谷に霧がかかる。人家、お寺、花木、山畑は晴れとは異なった風情を醸し出すという。雨もまたよし。ここは四季折々に、それぞれ異なった風趣を見せてくれる知る人ぞ知る日本の秘境だ。

やまぐにの 花のあかりの 花御堂 幹治